クリーニングの御用聞き
そうこうしているうちに、クリーニングの御用聞きが現れ、
私は、ご主人に、クリーニングを出す衣類を持って来るように頼まれる。
しぶしぶ奥の部屋に衣類をとりにいく。
タンスの引き出しを開けて、どれを出そうか、迷い始める。
どれも自分で洗濯してアイロンをかければすむように思えて、わざわざクリーニングに出すほどの衣類を見つけられずにいた。
早く、早く持って行かないと、あの人が帰ってしまはるかもしれない。
と、あせっていた。
あせる気持ちとは裏腹に、どうしてどうしても、ああでもないこうでもないとゆっくり選んでしまっている矛盾した私。
そうこうしているうちに、食卓から「じゃあそろそろ」という声がした。
「ああ、もう帰ってしまはるんや」
私はあわてて勝手口から玄関先に出た。
ひとめ、ひとめ会おうと必死だったみたい。
玄関先には、たくさんの車が並んでいた。
ひとつ、ひとつの車を確認して回ったが、見つけられなかった。
すでに出てしまった後だったのかもしれない。
どんな車に乗ってはったのだろう? わからずじまい。
心残りのまま目が覚めた。
風邪がさらに悪化していたようで、しばらく起き上がれずにいた。